機構長あいさつ
金範埈 教授(機構長)
東京大学生産技術研究所とフランス国立科学研究センター(CNRS)は、1995年以来、MEMS技術に関する国際共同研究組織LIMMS(Laboratory for Integrated Micro-Mechatronics Systems)を運営しております。LIMMSは2004年には、CNRSの正式な国際研究組織UMI(Unité Mixte Internationale)に昇格し、東京大学生産技術研究所では国際連携研究センターとして認定されました。
LIMMSでは主に、ナノテクノロジー新分野の開拓、バイオ応用マイクロシステムの研究、先端的集積化マイクロシステムの研究を行っております。2011年には、EUプロジェクトINCOLAB(FP7)に採択され、欧州委員会による我が国初の日欧共同研究ラボEUJO-LIMMSとして、国際共同研究を実施しました。また、フランス・リール市では2014年より、がん専門病院オスカーランブレセンターにLIMMSのミラー組織となるSMMIL-Eを設置し、がん研究に関するプロジェクトを始動しています。LIMMSによる最先端のバイオMEMS技術を臨床応用することで、がんなどの疾病治療やその原因解明を目指しています。2019年4月からは、フランスとスイスを中心に日欧先進臨床医工学連携(JETMeE)の研究を推進するため、新に拠点を強化できるよう、日本学術振興会から先端拠点形成Core-2-Core A事業に採択され、更なる国際共同研究を深めております。
2021年4月からは10年間の計画で「学際融合マイクロシステム国際連携研究機構」(略称:LIMMS (Laboratories for International Research on Multi-disciplinary Micro Systems)国際連携研究機構)を構築いたしました。本機構は生産技術研究所がフランス国立科学研究センター(CNRS)との共同研究として25年間にわたって運営してきた日仏国際共同研究センターLIMMSを本機構の母体とし、本学の医学系、工学系、新領域、情報理工、物性研、先端研と総合文化研究科が参画し、部局の壁を越えて学内の知を総合的に投入する場となります。LIMMSでは、これまでに250名以上の外国人研究者をフランスや欧州各国から受け入れて参りました。
本機構ではナノバイオ、μTAS、シリコンニューロン、IoT、エナジーハーベスタ等のマイクロナノ学際分野における国際共同研究成果を活用して、他の先進国より一足先に我が国が経験する高齢化・人口減社会の諸問題に対して、身体的・精神的・文化的な効用 Quality of Life を最大化する分野横断的研究に取り組んで参ります。また、それらの解決方策を単に我が国だけに通用する局所的なものに留めることなく世界標準技術として展開するため、広い分野にわたって視野の利く東京大学が主導的な立場となり、従来のLIMMSおよび関連10ヶ国14研究機関によるマイクロナノ関連の国際研究ネットワークを活用した国際共同研究と次世代若手研究者育成を実施して参ります。
本機構の活動を通じて、融合研究を推進し、上記目的を達成することができるよう活動を行ってまいります。皆様のご支援ご協力をお願い申し上げます。